意思能力と不動産取引について。
長寿大国の日本、寿命は伸びた分、病気のリスクも高まります。
体は元気でもシニア層の認知症発症数が増加する事が見込まれておりますが、認知症による判断能力低下によって不動産取引ではどんなリスクがあるのでしょうか?
八王子住まいる不動産では人の判断能力と不動産取引を想定した選択肢をお伝えしたいと思います。
人は一日3万5000回の決断をする
ケンブリッジ大学のバーバラ・サハキアン教授の研究によると、人は一日3万5000回もの回数で、何かしら決断をしていると考えられています。
私たちは、言語、食事、交通といった事柄だけでも、1日で平均2万回以上も選択をしており、これに、歩く、座るといった、身体をどのように動かすかについての決断や、会社や自宅で行なっている決断まで全て含めると、3万5000回に及ぶそうです。
決断をするための判断能力は人の日常行動するために必要不可欠なもの。
そして人生とはこの決断の積み重ねです。
認知症800万人の時代へ近年は平均寿命が80歳を超えており、病気リスクが高まりますが近年話題になるのは認知症。予備軍を含めると800万人との見込み、65歳以上は5人に1人が人認知症になると予想されています。
不動産取引に必要な意思能力不動産取引には意思能力が不可欠です。厳密には司法書士が面談し意思能力を確認します。
実際の登記を請け負う司法書士も認知症と聞いてしまうと、どんな司法書士でも登記手続きを断られます。
今後家族が不動産を売却するには成年後見制度を利用する事ととなります。判断能力が低下した人には法定後見制度~手続きの流れ成年後見の制度には大きく分けて法定後見と任意後見という二つの制度があります。
〇法定後見制度法定後見は既に判断能力が低下した人を対象にした方法です。自分だけではお金の管理や各種手続きを行うのが難しい人に対して後見人がサポートします。
法定後見の申請の流れ↓診断書の作成
↓本人に近しい家族が家庭裁判所に申し立て手続き
↓家庭裁判所の審判によって後見人が決定※後見人の多くは弁護士・司法書士
↓不動産の売却には裁判所の許可が必要
後見制度も時間のかかるのが特徴的
後見人への報酬も月額2万円~9万円が相場、認知症患者での実際の利用率が3.7%というのも納得です。
意思の能力がある方の選択肢将来の判断能力低下リスクに備えて元気なうちに出来る事を整理、現状の選択肢を整理します。
〇任意後見制度任意後見は、病気などではなく判断能力が適切だと認められる人が、将来に備えてつける後見です。つまり元気なうちに信頼できる人物を後見人に据えておくという、保険の様な制度ともいえます。もし本人が亡くなるまでに、認知症などが発症せず身体に不自由もなければ、後見人が活動することはないままになります。
任意後見制度は大きく3つのタイプ
・将来型~認知症予防目的
・移行型~認知症だけではなく体が動かなくなる時に備えて
・即効型~任意後見契約後すぐに認知能力の低下の診断を受けて後見活動に移る
〇家族(民事)信託制度民事信託とは、ある特定の財産を自分自身(委託者)が、自分の財産を信頼できる人(受託者)に託して名義を移転し、信託契約で定めた一定の目的に従って「管理(守る)」「活用(活かす)」「承継(遺す)」を行ってもらいます。
そして、信託の利益を享受する人(受益者)に信託財産を利用させたり、運用益などを給付したりする制度のことです。
信託契約から不動産取引まで裁判所か関与しないので、我々不動産業者として、信託登記が出来ている方は売却まではスムーズ。
信託登記により既に受託者に所有権が移転しているのが特徴です。
〇生前贈与
生前贈与は財産を所有している方が生きているうちにおこなわれるのに対し、相続は亡くなった後に発生するものです。
相続では、財産を取得できる人は法律で決められているため、遺言書がなければ財産を渡す相手を自由に決めることはできません。
遺言書があれば故人の意思で財産を分けることが可能ですが、急逝した場合には遺言書を残していないことも考えられます。
一方、生前贈与では、贈与者が決めた相手に財産を渡せます。存命のうちであれば、家族に対し財産の分け方を説明できます。
不動産売却所有者さまも望んで手に入れた不動産。手放したい訳がありません!ですが将来を見据えた判断で元気なうちに売却への決断をするのも選択肢です。元気なうちに精算すれば遺族がお金で争う事もありません。
親御さんから家族に残すのは、お金だけではありません。
LIXIL八王子住まいる不動産は、親御さんから子供たちへの
「家族への気持ち」を残せる様にお手伝いさせていただきます。